日本看護歴史学会は平成29年で、30周年を迎えます。
この記念すべき年の8月18日(金)、19日(土)、東京慈恵会医科大学において「看護の政策過程の検証―歴史から看護のエビデンスを探るー」というテーマで学術集会を開催することとなりました。
看護の史実を紐解いて、その時何があったのか、誰が何をしたのか、ということは看護の政策過程において方向性を決定づけた重要な真実(エビデンス)になると考えました。つまり、史実を紐解き、人々の目に留まるように可視化することが看護の政策過程を分析するために必要であり、看護の歴史研究はそれに相応しい研究手法といえます。
将来、何か大きな問題が起きたときに、なぜこうなったのか?そのエビデンスはどこにあるのか?を理解することは、私たちが新しいものに惑わされることなく、看護の本質からぶれることなく、最善策を見出し、課題解決に向かっていけるのではないかと考えます。今回は、看護の政策過程を振り返るために、准看護婦(師)制度をテーマにシンポジウムを開催します。また、歴史を記憶として人々の中に留める方法として、最先端のデジタルアーカイブスの手法に関する特別講演、さらに最も重要でありながら、看護歴史の研究手法としてはあまり用いられてこなかったオーラルヒストリーの研究手法の教育講演、日本で最初に近代的看護教育を開始した慈恵の看護教育に関する講演を予定しています。
同時に30周年を記念して、学会発起人がどのような思いでこの学会を立ち上げられたのか、先人の看護歴史にかける思いを理事会セッションとして開催し、看護歴史を探求する意義を参加者の皆様と共有してまいりたいと思います。
皆様のご参加を心よりお待ちしています。
日本看護歴史学会第31回学術集会長
田中幸子